生活習慣が原因ではなく、子どもに多く発症する、1型糖尿病。幼稚園への看護師派遣を求め、愛知県に要望書を提出しました。
名古屋市南区の紙屋実来さん(35)。正午前、毎日のように行かなければいけないところがあります。
長男の太一くんが通う幼稚園です。太一くんは、1歳8カ月のときに、1型糖尿病を発症。
それ以来、インスリン注射が欠かせない生活になりました。
「すごく熱が長引いたんですよね。病院に行ったら脱水症状になっていて。1型糖尿病と言われました。お菓子あげすぎたのかなとか思ったけど、1型はそういうのは関係なくて」(母・紙屋実来さん)
1型糖尿病は、生活習慣と関係なく、免疫の異常などによって、血糖値を調整するためのインスリンが出なくなる病気です。
太一くんの場合、1日8回ほど、ご飯の前や高血糖時にインスリン量を調整し注射しています。
注射をしないと、腎不全や失明、最悪の場合、命に関わる恐れも。
注射を打てるのは、本人か家族、医師・看護師に限定されています。
注射を打ちに行くしかない
おととしから、公立に限っては、名古屋市内の幼稚園や小学校に看護師が派遣され、保護者に代わって、看護師が注射を打ってくれます。
しかし、太一くんが暮らす南区には、公立の幼稚園がなく、私立の幼稚園に通っています。
「上の子(太一くんの姉)が幼稚園に通っていたので、知っている先生がいたらいいなと思って。制度ができるまでは自分で(注射を打ちに)行くしかない」(紙屋実来さん)
名古屋市内には、私立の幼稚園が、公立の約6倍にあたる126園ありますが、看護師を派遣する制度がありません。
「朝、高血糖で注射を打ちに行く。昼に注射を打ちに行く。帰る前に注射を打ちに行くとか(幼稚園の)駐車場にずっと(待機して)いたときもある」(紙屋実来さん)
私立の幼稚園への看護師派遣、愛知県に要望書を提出
このような状況を受け、22日午後。
太一くんの父親、恭平さん(32)ら1型糖尿病の子どもを育てる親が、私立の幼稚園への看護師派遣を求め、愛知県に要望書を提出しました。
愛知県の大村知事は――
「できるだけ早いほうがいいと思いますので県議会市議会の皆さんと相談して進めさせていただきたい」(大村秀章 知事)
私立の幼稚園への看護師派遣について前向きに検討する考えを示しました。
「今回このタイミングで制度ができなければ、私たちと同じように困ってしまう子どもたちが出てきてしまうと思うので、いち親の声を聴いていただけるということですごく感激しました。負担が少しでも軽くなると思うので制度がしっかり運用されることを期待しています」(父・紙屋恭平さん)