全国的に年々増加している「高齢出産」。嬉野市の夫婦は、妻が43歳で子どもを授かりました。様々なリスクと向き合う中で、妻を心身ともに支えたのは夫が手作りした思いやりがあふれる“お茶”でした。
待ち遠しかったわが子。すくすくと、元気に育っています。
【川原祐里さん】
「奇跡だなと思いました。本当に。もう44になる歳だったのでもう正直諦めてたのがほとんどだった」
嬉野市の川原祐里さん。43歳で子供を授かり、3カ月前に男の子を出産しました。
【川原祐里さん】
「心臓の音が聞こえたり何センチですよとか何グラムですよとか聞くたびに安心するというかほっとするというか。うれしかった」
高齢出産を乗り越える中で、祐里さんの心の支えの一つになったのが妊娠中から飲んでいた“お茶”でした。
【川原祐里さん】
「糖分が入っていないのにこれだけ甘さを感じられて幸せな気分になれて。本当にありがたいなって。それだけが支えだった」
そのお茶を作ったのが、創業111年の茶屋を営む夫の川原康寛さんです。
【川原康弘さん】
「(妻に)なるべくストレスを与えたくなかった。不安な状態を緩和させてあげたかった」
【川原祐里さん】
「いつも両手挙げて寝てる」
一般的に35歳以上の出産を指す「高齢出産」。母体にも胎児にも様々なリスクがあります。祐里さんは、43歳で妊娠したあと妊娠糖尿病などを発症。血糖値が高くなると流産や早産、子供の障害などに繋がる可能性があり、約1カ月入院しました。
【川原祐里さん】
「どうしても甘いものも食べられないし、ご飯にも糖分系がほとんど入っていなかったので。心の満足と身体の満足感が糖分がないとどうしても。でもお腹のわが子が無事に生まれてくるようにそこは何とか努力しないと」
高齢出産の難しさと闘う祐里さん。康寛さんはそんな妻を支えようと、妊娠中でも飲める独自のお茶の研究を始めました。“甘さ”を感じる味にもこだわり、取り寄せた茶葉は100種類以上。
【川原康弘さん】
「趣味の世界(で作っていた)。パーツパーツを集めていってそのパーツがこれ合わないよね、こっちのほうが合うかなとかそういうのをやって作った」
そうして出来たのがこの「ゼロ茶」。イチジクやタンポポ、ザクロなど8種類の素材から抽出された優しい甘みが特徴です。
もちろん、糖分はゼロ。カフェインや添加物も一切入っていません。
【川原祐里さん】
「このゼロ茶を飲み始めてからはああ、これできょうも乗り越えられるみたいな」
このお茶が、妊娠中の祐里さんの大きな助けになりました。
【川原康寛さん】
「今回新しくお茶を作りまして、ずっと子供が生まれるまでにいろいろ試行錯誤して作ったお茶なのでぜひ飲んでもらいたい」
【助産院MALU】
「同じ境遇の人を支えたい」
川原さん夫婦は、このお茶を広く飲んでもらう取り組みを始めています。この日は、1歳未満の子どもを持つ授乳期間中のお母さんたちが集まっていました。
【川原祐里さん】
「授乳をするとお腹が減るので、そういったときに飲むと身体が満足感を得れるので」
妊娠中だけでなく、授乳中も糖分やカフェインはなるべく控える必要があります。
【お母さんたち】
「おいしい。あまっ」
「甘くておいしかった。授乳の前とかもカフェイン摂りすぎると気になるので、授乳前や夜寝かしつけたあとのリラックスタイムに飲みたい」
「めっちゃチョコとか食べちゃうから、これでチョコじゃなくてお茶で済むならいいですよね」
「日々育児に追われてなかなか辛い日々を送っているので、ほっとしたいときに飲みたいお茶だった」
数多くのお母さんたちをみてきた助産師さんも…
【助産師 市丸沙穂里さん】
「妊娠糖尿病とか高血圧とかカロリーを制限されたり、栄養素考えて飲まれる方とかはどうしても赤ちゃんを優先して考えられるので、自分の楽しみは我慢しているお母さんが多い。ちょっと自分の息抜きに楽しみをもって食事や飲み物で楽しめるならいいなと思った」
【川原康寛さん】
「実際どうかなという不安もあったが、喜んでもらったあの顔が一番だった」
お母さんや子供への愛情と思いやりが詰まったゼロ茶。康弘さんは多くの人に心安らぐ時間を届けたいと話します。
【川原茶業 川原康寛さん】
「このお茶を飲んで、あ、よかったなっていうような、これが楽しみだよなってほっとしてもらえるようなそういう時間を作れるようなお茶になってほしい」
川原さん夫婦は県の子育て支援アプリに登録している人にゼロ茶を1袋無料で配布していて「妊婦さんや授乳中のお母さんの役に少しでも立てたら」と話していました。ゼロ茶の購入はお店やオンライン、近くの道の駅などから出来るということです。