糖尿病

糖尿病

糖尿病は、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群です。

インスリン作用不足の原因：
1型糖尿病：主に、インスリンを合成・分泌する膵臓のランゲルハンス島β細胞が破壊・消失することによります。
2型糖尿病：インスリン分泌低下やインスリン抵抗性（インスリンの効きが悪くなる状態）を起こしやすい遺伝的な素因に、過食（特に高脂肪食）、運動不足、肥満、ストレスといった環境因子や加齢が加わって発症します。

インスリンの役割：
インスリンは膵臓のβ細胞で生成・分泌され、全身の組織に送られます。肝臓、筋肉、脂肪組織などで細胞膜上のインスリン受容体に結合し、以下のような働きをします。
・ブドウ糖の細胞内への取り込み促進
・エネルギー利用や貯蔵の促進
・タンパク質の合成促進
・細胞の増殖促進
インスリンが体の組織でこれらの代謝調節能を発揮することを「インスリン作用」といいます。インスリンの供給と組織の必要量のバランスが取れていれば血糖を含む代謝全体が正常に保たれますが、インスリン分泌不足やインスリン抵抗性の増大はインスリン作用不足をきたし、血糖値が上昇します。

高血糖による影響：
症状：持続する高血糖により、口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感といった特徴的な症状が現れることがありますが、自覚症状に乏しく病識を持たない場合も多いです。
急性合併症：急激かつ高度なインスリン作用不足は、血糖値の著しい上昇、ケトアシドーシス（血液が酸性になる状態）、高度な脱水などを引き起こし、高血糖性の昏睡に至ることもあります。
慢性合併症：慢性的に続く高血糖や代謝異常は、網膜症、腎症、神経障害といった細小血管症や、全身の動脈硬化症を引き起こし進行させます。さらに、白内障などの合併症も起こし、サルコペニア、認知症、癌のリスク増加とも関連し、患者さんの生活の質（QOL）を著しく低下させます。

膵外分泌疾患や内分泌疾患など、他の疾患や条件に伴って発症する糖尿病であっても、これらの合併症は出現する可能性があるため、診断や治療は通常の糖尿病と同様に行われます。