【糖尿病】ハイブリッドクローズドループで出来る事・QoL・かに釣り・🎶 ビバルディ・四季・冬

【糖尿病】ハイブリッドクローズドループで出来る事・QoL・かに釣り・🎶 ビバルディ・四季・冬

FDAなんちゃって承認済みのLoopアプリ、Dexcom G7、Omnipod Dash からなるハイブリッドクローズドループシステムのおかげで、**この1型糖尿病のオヤジでも、**先進国ニッポンではまだ手に入らないシステムを使って、北アメリカの港でペダル式カヤック(2007年製 Hobie Islander)に乗ってカニ釣りに出かけることができる。

朝飯はガッツリおにぎり四個。朝の冷たい海に出る前に、Loopで現在の血糖とトレンドを確認し、「これから4時間カヤックで走りまくる」とアルゴに入れてあるので、多少こぎすぎても低血糖の心配はほとんどない。あとはDexcom G7がリアルタイムで血糖を測り、そのデータをもとにLoopが自動でOmnipod Dashのインスリン量を微調整してくれる。

朝は水も空気も冷たく、フルスーツのウェットスーツを着て、期待で胸を躍らせながらペダルを一気にこぎ出し、誰にも知られたくない“穴場”へ向かってスプリントする。

ポッド(インスリンポンプ)はウェットスーツの中で、外から見えないように片腕の後ろにそっと隠れるように装着し、スマホはPFD(ライフジャケット)に紐付けておく。別にスマホは海に浸かっても気にしない。

潜るわけでは無いから気にしない。悪くても転覆ぐらいだ。心配しない。

手首には古めの Apple Watch Series 3。Dexcomのセンサーもポッドもウォッチもスマホも、防水仕様。

つまり、この朝の装備一式は「全システム防水」。どれか一つを水に落としても、すぐに沈まない限りは動き続けてくれるレベルの耐水仕様だ。

ペダルをこぎながら、ふと頭をよぎる。「QoL後進国ニッポンでは、まだこの組み合わせのシステムは手に入らないんだよな。」Dexcom、ポンプ、ループ用アプリを自由に組み合わせて、ここまでQOL(生活の質)を押し上げる環境は、今の日本だとまだハードルが高い。医療制度も、承認も、デバイスの選択肢も、「一応先進国」のはずなのに、こういう領域は欧米のほうが一歩も二歩も先を行っている。そのギャップが、やっぱり情けない。

ハードそのものが未承認でそもそも選べないこと、保険や診療報酬の仕組みが古くて「安全第一、便利さとQOLはその次」に押しやられていること、そして医療現場や行政のどこかに、「患者さんがちょっと不便を我慢してくれればい」という空気がまだ残っていること。医療費抑制だとか、責任の所在だとか、前例主義だとか――いろいろ“もっともらしい理由”は並ぶのかもしれない。でも当事者としては、結局こういう素朴な疑問に行き着いてしまう。

なぜ日本に普及しないのか。
なぜ「我慢しなさい」って言われるのか。

それでも今、他の先進国では、その恩恵をフルに受けられている。Dexcomのアラームが低血糖・高血糖の前に知らせてくれること、Loopが**基礎インスリン(ベーサル)**を自動で上下してくれることが、血糖コントロールに対する不安をぐっと小さくしてくれる。

1型糖尿病の治療では、単に血糖値をコントロールするだけでなく、
日々の生活の質(QOL)をどう守るかが一番のテーマになる。
ハイブリッド閉ループシステムは、「常に血糖を気にして頭の半分を取られる生活」から、「必要なときだけ確認すればいい生活」へと、負担を少しずつシフトさせてくれるツールだ。

港の水面は静かで、東の空が少しずつオレンジ色に染まり、霧の向こうから太陽が顔を出す。ペダルをこぎ終えて息を整えながら、カヤックの船底を叩く小さな波の音と、頭上を飛ぶカモメの声に耳を澄ます。腕の上のDexcomセンサーと、片腕の後ろに隠れたポッド(インスリンポンプ)、PFD(ライフジャケット)に紐付けられたスマホが静かに働き、血糖のチェックは、手首のウォッチをちらっと見るだけ。ウォッチに表示される数値と矢印をときどき確認し、「大丈夫だ」とわかったら、またすぐに視線を朝焼けと海にもどせる。

テクノロジーに守られながら、自然の中でカニを待つ時間を心から楽しめること――それ自体が、1型糖尿病の日常治療のゴールである「QOLの確保」を体現している。

そして最後に、こう思う。このQOLの「遅れ」について、ぼくら一人ひとりが立ち上がって声を上げない限り、1型糖尿病と生きるぼくらの毎日は、きっと何も変わらないままなのだろう。

Music
Vivaldi: The Four Seasons
“Winter” — I. Allegro non molto
John Harrison with the Wichita State University Chamber Players
• CC BY-SA 3.0

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